【LIVE REPORT】零[Hz]、“約束”を果たした7周年を記念したワンマンライヴ。「できる限り長く、零[Hz]を続けて行きたいと思います」
ZEROHZ 7th ANNIVERSARY LIVE「SIXAXIZ-2025-」
2025.3.28(Fri.) Spotify O-EAST
零[Hz]の結成7周年を記念したワンマンライヴ「SIXAXIZ-2025-」。近年、東名阪での開催を恒例化してきた中で、今年も名古屋・大阪公演を経て、3月28日にSpotify O-EASTにて東京公演が行われた。
“SIXAXIZ”とは、まさしく6つの“軸(=AXIZ)”を意味している。メンバーを1本ずつの柱としたときに、残るもう1本の柱を担うのは、もう1人のメンバー的存在。つまり、ファンをはじめとした零[Hz]に関わるすべての人となるわけだ。この“SIXAXIZ”こそ、彼らが常日頃から“チームゼロヘルツ”という言葉でバンドを表している核となるものであり、それを掲げて行う周年を祝うライヴは、零[Hz]を中心に繋がれる絆を確かめ合う大切な日でもある。
SEに乗せて登場したメンバーが、幕開けに放ったのはズバリ「AXIZ」だった。先の名古屋・大阪公演では本編ラストに披露されていた楽曲をここでは1曲目に据えることとなったが、今回に限らずに周年ライヴでは重要位置にポジショニングするこの「AXIZ」こそ、零[Hz]が掲げる“東京ミクスチャーロック”の方向性を定めた象徴的な楽曲でもある。こうした音楽的な“軸”を司る楽曲をもって、存在感をしっかりと発揮した堂々たるオープニング。ド頭に楽器隊が交わしたアイコンタクトにステージ上の呼吸も見て取れ、ROYの放つ歌声と粒立ちする各々の音がストレートに響き渡るのを具現化するように“虹架かる”の歌い締めにレインボーカラーのレーザー光線がまっすぐと突き抜けた。ここからは、ヘッドバンギングが起こった「VANITY」、ROYの雄叫びから突入した「Othello」と加速し、「EASTいけるか!? EAST生きてるか!? 今日という日を思う存分楽しんでいこうぜ!」とROYが叫びあげるまで、ものの見事に一息に駆け抜けていった。しかし、勢いとは裏腹に充実感を得られていた要因は、紛れもなく零[Hz]が持つ孤高な音楽力にある。特に派手なステージセットや演出などはなく、シンプルにバンドロゴをバックドロップに掲げたステージで、さらに全員がシックな装いで統一していた中でも、圧倒的な歌や演奏といったスキルで個性を打ちだせるところに零[Hz]の強さがあると、この時点で早くも痛感することとなった。
「我々零[Hz]、2018年に活動を開始して今年の3月で7周年を迎えました、ありがとうございます。――今日来てくれた全員、誰一人置いていくことなく、最高の日にしていきたいと思います。思いっきり行こうぜ、東京! 楽しむ準備はできてるか︎ 全員でお祝いしてくれ、いいか!」と意気込みを伝えたROY自ら、歌う側面から挑戦的なアプローチを見せつけたとも言える「N0.name」と「TRINITY∴ONENESS」を続けて披露した場面。一貫した攻めの姿勢の中で、もう一段階フロアを奮起させた「JOKER +28」では、リアリティを助長する歌詞をROYが手ぶりを交えて歌い上げ、最後には目の覚めるようなハイトーンもかました。そして、「君に降る夜に。」でも骨太なサウンドを届かせるも、そこに重なる詞世界はロマンチックなもので、その絶妙な合わせ技によってオーディエンスを益々惹き付けていく。
さらに、直前まで感じていたロマンチックさをさらに解像度高く表現したのが、暗転からシフトした「Dear」。ピアノの音色にLeoはアコースティックギター、Rioはエレクトリック・アコースティックギターでそれぞれが優しい音色を重ねていき、大切に届けられたバラードに会場中が一気に酔いしれていく。そこへ輪をかけて零[Hz]の表現力の妙に心が震えたのが、「叶えたい夢と、守れない君と」を披露したとき。スモークが立ち込めた幻想的なステージも相まって、儚さにも似た壮大感の中で一音一音、一言一言にアクセントがついた心地よい重厚感を味わわせる。ここに、メンバーが音楽を追求し続けている姿勢がにじみ出ていたとも言えるが、“仲間と楽しく音楽をやる”という純粋な気持ちこそ、彼らを底なしにレベルアップさせる本質であることを印象付けたのが、その直後に話したROYの言葉だった。「7歳、“7ヘルツ”になりました。でも、変わらないこともありまして。ヴィジュアル系が好きで、ROCKが大好きで、そんな気持ちを胸にここまで走り続けてきました。そして、それを応援してくれているみんながいてくれたからここまでやってこれました」と話していた通り、“バンド”における醍醐味を忠実に全うしている零[Hz]の魅力は、時が経ても変わっていない……いや、むしろ年々強まっているとすら思える。
ここで、「『SIXAXIZ』、俺たちとファンのみんなの絆を確かめ合う日」と改めて強調し、「最高の景色作ろうぜ、いいかい︎ 零[Hz]のライヴを始めようか!」とROYの気合いの一声に続いて、RYOGAが高速にドラムを叩きつけた「YAIBA」から突入したラストスパート。“6人目の刃は お前自身だ”と客席を満遍なく指差しながらROYが歌い、RioとLeoのギターソロの橋渡しも見事に決まった。さらに、「ROYAL RAMPAGE」ではTEIKAのうねるようなベースが映え、「Changing Mrs.SATELLITE」では疾走感を帯びて鋭いロックサウンドで魅了していく。拳を振りながらジャンプに沸いた圧巻のライヴ感を起こした「VENOM」では、“まだ見ぬ明日へ”の部分でLeoとTEIKAが不意に天を指す仕草がシンクロするという胸が熱くなるシーンもあった。追随を許さぬほどのサウンドが持つ臨場感と、エモーショナルなアプローチとの相乗効果で生まれる熱さ。それが「POSE」で極めつけと言わんばかりに爆発することとなり、“You should be just the way you are”というフレーズをシンガロングしながらアイデンティティを強めたメッセージを刻み込んでいった。
「次に歌う曲、3年前の1月11日にここ、同じ場所で歌いました。そして、歌うときにこう約束したんだ、〈必ずこの場所に帰ってくる〉と。面子が変わっちまうかもしれない、景色が変わっちまうかもしれない。でも俺たちは何も変わらず、また集まったみんなとデートをしようと、また集まったみんなと最高の景色を作ろうと約束しました。その約束を果たせる瞬間を、みんなで迎えにいこうぜ!」(ROY)
こうしてラストに演奏されたのは、“ランデブー”という言葉でライヴという空間を表現した「RENDEZVOUS」だった。3年前、この曲がリリースされたときはまだコロナ禍でもあり、制限のある状況下でのライヴに対してそれぞれの思いを馳せていた時期。時を経て、〈必ずこの場所に帰ってくる〉という約束は、ライヴとしてのあるべき姿をもって、最高の形で果たされることとなった。それでも、ROYは最後の“ずっと”を何度も繰り返しながら歌っていたように、これからも零[Hz]の歌と音は“君”のために進化を遂げながらライヴという空間に鳴り響き続けていくはずだ。その証拠に「みんなのおかげで、またこうしてワンマンライヴで帰ってくることができてとても幸せです。そして、なんならもう一回約束しよう、またここで最高のライヴしてやろうじゃないの。いいですか、チームゼロヘルツ! またこのO-EASTでライヴしてやろうぜ、ソールドアウトもしてやろうぜ!」と、新たな約束も生まれていた。
アンコールは、それぞれ3年ぶりに立ったSpotify O-EASTへの思いを語るところから始まった。Leoは、コロナ禍だった前回のライヴを振り返りながら「またEASTでやれて嬉しい。ここでチームゼロヘルツの声が聞けて嬉しいし、一緒に7周年お祝いしてくれて嬉しいです。自分にとっても大切な零[Hz]が皆さんにとっても大事な居場所出会ったら嬉しいし、これからも末長く、10周年とかその先も一緒に歩んで行けたら嬉しいです。いい曲を届けられるようにこれからも頑張りますので、よろしくお願いします」と、これまでの出来事を思い出して胸がいっぱいになったということも踏まえながら話していた。TEIKAは、過去の楽曲を演奏すると当時を思い出すということを前置きながら「今回やってみて、楽しい思い出になりました。7年続いたことなんて他にない。8年目も頑張りたいと思うので、応援よろしくおねがいします」と伝えた。Rioは「こんなにお祝いに集まってくれて嬉しいです、ありがとうございます。昨日、7年前の動画を見返したりして、懐かしくて嬉しくていっぱいお酒飲んじゃった」と話していたが、RYOGAも美容院でコスプレイヤーを装うこととなった前日談で笑いを交えながらも「メンバーが誰も変わらず、大きい病気とかもなく健康でやってこれたことが嬉しいし、何よりもみんながいてくれるから俺らもここまで活動を続けられました。本当にありがとうございます」と話していた。本編中に率先して気持ちを伝えていたROYは、過去の左足の骨折歴に触れながら「周期的に、そろそろなんですよ……僕がフロアに降りそうになったら〈やめろ!〉って(止めてくれ)」という話題で、しばし思い出話に花が咲く場面もあった。そして、「トリップランド」を筆頭にラフな雰囲気で披露された全6曲。中でもメンバーのソロ回しが見どころな「DarthHerz」や、存在証明をファンと分かち合った「終天浮游」も印象的だったが、やはりアンコールのハイライトはラストの「リアン」に尽きるだろう。この日は7周年ということに加え、先にも触れたように“3年前の約束を果たす”ということも大切なミッションでもあったのだ。実はこの日の登場SEは「RENDEZVOUS CHORD」という当時と同じものを使用しており、本編ラストを「RENDEZVOUS」、アンコールラストを「リアン」で締めくくるという、3年前に行ったライヴを彷彿させる点がいくつもあった。こうしてすべてのミッションをコンプリートするかのように、「ラスト、俺たちの絆をここに刻み込んでいこうか!」と披露した「リアン」。曲中に登場する“壊れない関係”を歌いながらメンバーを一人ひとり指差したROY、そしてステージ中央に集結したメンバーが物語っていたのは、彼らを結びつける関係性はこれからも壊れることはないということと、ちょっとやそっとのダメージでは崩れることはない強靭な関係はこれまでの軌跡によって築かれたものだということだった。
「ここから8年目ということで、8周年に向かって突っ走って行きたいと思いますし、できる限り長く、零[Hz]を続けて行きたいと思います。ラフでいいよ、重く考えなくていい。応援できるペースで、その時の気持ちでいいけど、俺たちは変わらずROCKしていくから。君たちの笑顔をずっと待ってるし、楽しみにしてるから、いつでも会いにきてください。本当に素晴らしい夜をどうもありがとうございました。これからも、よろしくお願いします!」(ROY)
終演後、映像にて新たなアナウンスが公開された。「Nebul∀」と題したワンマンツアーの開催が決定し、こちらは5月9日のZepp Shinjukuを皮切りに全22公演からなる〈SAGA 1〉と、9月からスタートし全14公演からなる〈SAGA 2〉と二段階構成の大規模ツアーとなる。なお、〈SAGA 1〉の初日Zepp Shinjuku 公演は「ZilemmA」と名付けられており、さらに〈SAGA 1〉のファイナルは「fetus」と題して7月23日にZepp DiverCityにて、〈SAGA 2〉のファイナルは「DYSTOPIA」と題して10月23日にLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて行われることとなり、それぞれの意味するものは是非ライヴを通じて確かめたいところ。確固たる軸に導かれるままに進む、可能性に満ちた未来で零[Hz]が見せる新たなSAGA(=物語)を楽しみにしていたい。
Report:平井綾子(Ayako Hirai)
Photo:Yuto Fukada
[SET LIST]
-SE- RENDEZVOUS CHORD
01. AXIZ
02. VANITY
03. Othello
04. N0.name
05. TRINITY∴ONENESS
06. JOKER +28
07. 君に降る夜に。
08. Dear
09. 叶えたい夢と、守れない君と
10. YAIBA
11. ROYAL RAMPAGE
12. Changing Mrs.SATELLITE
13. VENOM
14. POSE
15. RENDEZVOUS
-EN-
01. トリップランド
02. DarthHerz
03. パラレルワールド
04. SINGULARITY
05. 終天浮游
06. リアン