【LIVE REPORT】Royz、豊洲PITにてフリーライヴ「#Royzって誰なん?」開催。約3,000人の大観衆を前に、2026年9月16日に控える初の日本武道館公演を堂々発表! 「“下剋上”で終わりじゃねーんだ、その先だ!」
Royz FREE LIVE「#Royzって誰なん?」
2025年11月3日(月・祝)豊洲PIT
Royzが、11月3日に豊洲PITにてFREE LIVE「#Royzって誰なん?」を開催した。
わずか1ヵ月前のアナウンスにもかかわらず、会場には約3,000人もの観客が集結し、その光景はRoyzへの注目度の高さを雄弁に物語っていた。そこへ、堂々たる出で立ちでメンバーが登場すると、昴が「行けるか、東京!」と明快に幕開けを告げ、ライヴは『GIANT KILLER』からスタート。冒頭から申し分ない爆発力を放っていたのだが、微かに漂う緊張感の正体は、この先に控えていた“重大発表”への期待と身構えによるものだったのかもしれない。しかし、それが明らかになる瞬間は早々に訪れた。
『GIANT KILLER』を演奏し終えた直後、「醒めない夢を見ようぜ!」という昴の言葉と同時に巨大モニターに映し出されたのは、【2026.9.16(水)日本武道館】の文字。大観衆がほんの一瞬息を飲む静けさに包まれたものの、それはすぐさま実感を帯びた観喜の拍手と歓声に変わっていく……! この瞬間は各SNSでも同時配信され、Royzの日本武道館公演決定のニュースは瞬く間に全世界へと広まった。
「2026年9月16日、日本武道館ワンマンやります。僕ね、いろいろ想像してたんです。こういう発表をしたら、自分がどうなるんやろうなって。ボロ泣きなんやろなって。……一ミリも(涙が)出ないですね(笑)。きっとこれは、神様が〈まだ泣くところじゃない〉と言ってるのかな、と」――昴
思えば『GIANT KILLER』の演奏中、“救いは此処にある”を“夢も希望も此処にある”と歌い替えたり、“夢がほしいやつは俺らについてこい。下剋上、その先へ”と台詞を挟むなど、いつになく熱のこもったアクトが印象的だったのだが、それらはすべて、記念すべき発表へ向けたプロローグとなっていたことに気づかされた。そして、「さぁ、夢の続きを始めようか!」と続いた『ACROSS WORLD』では、メンバーの笑顔が光り、観客も手を繋いで大きなモッシュの波を起こす。バンドにとって大切な発表があった節目だからこそ、これまでの軌跡がフラッシュバックした中で思い出されたのは、まさに『ACROSS WORLD』が誕生した2011年、Royz結成から2年後のこと。当時この曲を演奏していたメンバーは、それはそれはワチャワチャとステージを駆け回る少年たちだったのだが、今となっては昴が中心となってメンバーへグータッチをして周り、オーディエンスを見つめながら凛として届けるリアルが目に映る。
“崩れそうになって 泥だらけになっても 踏みつけられても 笑ってやるんだ”
今よりも、もっと純粋な衝動で綴られたであろうこのワンフレーズに見える、“下剋上”の片鱗。そして、実際にそうやって生きてきたRoyzだからこそ、掴めたものは想像以上に大きかった。月並みだが、これまで経験してきた苦楽すべてが一つたりとも無駄ではなかった……いや、無駄にはしなかったということである。
ライヴの頭に、これ以上にない“重大発表”を持ってきたことこそ、Royzなりの愛だったようにも思う。なにしろ、ここからは不安要素など一切ない、ただただハッピーな時間を過ごすのみとなったのだから。早速『VENOM』や『Killing Joke』を畳みかけて場内がヒートアップしたところで昴が「俺たちがRoyzだ!」と叫んだのに対し、一際大きい歓声が起こったのも、緊張の糸が解けたことを感じられる瞬間でもあった。
「我々、今年で17年目になりますけど、17年経っても咲く花はあるということで、一つずつ形で示していこうと。〈生きてたら夢、あるじゃん!〉と、この姿で示していこうと思います」と、改めて挨拶した昴。「行けるか豊洲! “行けるか”じゃねーな、“行くぞ”豊洲! 最高の1日にしよう!」と、細かいニュアンスも気にかけながら今の気持ちを扇動の言葉として伝えて突入したのは、“長年連れ添った俺らの切り札”と紹介した『JOKER』や、『クロアゲハ』『マーブルパレット』といった言わば懐かしの楽曲たち。しかし決して“懐かしい”に留まらず、杙凪(Gt)のソリッドにうねるギターが牽引する進化したサウンドに、“長年連れ添った”からこその進化が垣間見られる。智也(Dr)と公大(Ba)の強靭かつ個性を押し出したボトムも活かしながら、よりキャッチーに、よりヘヴィーに洗練された側面を存分に見せつけていた。
ノスタルジックに誘った『純情キャットライン』からは一転、杙凪が新しいアコースティックギターを手にして披露した『Sly』や『紫苑』といった哀愁を纏う歌ものでオーディエンスを惹き付けていく。このように多彩な表情で魅了したこの日のセットリストは、いつも来てくれている人・久しぶりに来た人・最近知った人と、集まってくれたすべての人に喜んでもらえるように、約170曲の持ち曲から丁寧に考えて曲を持ってきたという。実際、新旧を網羅しながらRoyzの“武器”をしっかり提示する、まさにオールタイムベスト的な内容となっていた。
中でもラストスパートに並んでいたのは、Royzとして示すべき指針のメッセージソングだった。『ANTITHESIS』で響いた力強い演奏と、それに負けない歓声とがまさしく“俺たちとお前たちのアンチテーゼ”を表し、『TRANSFORM』では“変われること”をダイナミックに証明しながら、牙をむく脅威ぶりも発揮。さらに『NOAH』にある、変わることへの恐れを払拭する決意もまた、時を経た今だからこそ一層の説得力をもって響いた。こうして、ラストを飾ったのは『RAIZIN』。「何もないまま終わるはずだった僕たち4人の人生に、世界をくれてどうもありがとう! 共に“極上の死に場所”を探しに行こうか!」と前置いた昴の言葉にもあった“極上の死に場所”というのは、『RAIZIN』にも記されている通り、自分たちが命を懸けられる場所=バンドであるということ。そんな彼らの人生における大義名分が詰まった楽曲を、メンバー全員でマイクに向かって歌い上げたそこにあったものは、開戦の焔のようなパトスだった。
アンコールでは、「新しい、たくさんの出会いをくれたと思える曲」と紹介した『丸の内ミゼラブル』をはじめ、全5曲を披露。クライマックスには、「一度きりですこの命、いい旅にしましょう! 一緒に行こう!」と一蓮托生の思いを込めた『宇宙に咲く花』に続いて、もう一段階感極まるシーンが待っていた。
「特別じゃないライヴなんてなかったし、一生懸命やってきたけど、やっぱり今日は人生に一度しかない報告をみんなにできて、本当に幸せでした。集まってくれてありがとうございました! このバンドには、夢も、希望も、未来もあります。僕らが17年かけて咲かせてきた花の咲かせ方を、こうやってまた偉そうに言うかもしれないけど、ライヴを通してちょっとでもあなたの背中を押せるきっかけになれたらいいなと思っています」――昴
『GIANT KILLER』のサビをシンガロングした一幕からバンドインしていく流れの中で、昴は再び口を開き、「よく聞け。武道館のタイトルは、『GIANT KILLER」-下剋上、その先へ-』だ。――“下剋上”で終わりじゃねーんだ、その先だ! 肝心なのは、その先。そんな世界を、お前たちに見せてやるよ!」と告げたのだった。
今後、12月23日にはなんばHatchでもフリーライヴが控えており、彼らの地元・大阪へも嬉しい知らせを届けに行くこととなる。それと並行して、『-二〇二五御礼行脚-「幻影都市で君と生きる」』と題したワンマンツアーや、カウントダウンライヴ『GOD FES』も決定しており、歩みのスピードを緩める兆しは到底ない。「これからも一生懸命に。それが、Royzのモットーなんで」と笑って見せた4人に見えた強さは決してハッタリではなく、未来への突破口を自らこじ開けた、大いなる可能性を秘めたストーリーはこれからも続いていく。日本武道館決定を世に放ったその瞬間から、Royzは“その先”へ向けて走り出していたのだ。
Photo:Keiko Tanabe
Report:平井綾子(Ayako Hirai)
[SET LIST]
- GIANT KILLER
- ACROSS WORLD
- VENOM
- Killing Joke
- JOKER
- クロアゲハ
- マーブルパレット
- 純情キャットライン
- Sly
- 紫苑
- ANTITHESIS
- TRANSFORM
- NOAH
- RAIZIN
ENCORE
En-1. 丸の内ミゼラブル
En-2. キュートアグレッション
En-3. AFTER LIFE
En-4. 宇宙に咲く花
En-5. GIANT KILLER
