大隈重信、岩倉具視ら「幕末の獅子たち」を惹きつけた宣教師「フルベッキ」…その魅力の正体
宣教師で英語教師だったフルベッキといえば、いわゆる「フルベッキ写真」を思い出す人は多いだろう。その一葉には、数多くのサムライたちが映し出されている。
一八九五年(明治二八年)に雑誌『太陽』に掲載されたのが初めて世に出たきっかけだが、当時はさほど注目されていなかった。その後、肖像画家・島田隆資が論文で西郷隆盛などの幕末維新の志士たちが映っていると発表し、がぜん世間の関心を呼ぶのだった。しかし、慎重に検証してみると写真の人物たちは西郷隆盛や坂本龍馬ではなかった。
とはいえ、多くの「都市伝説」を生んだこの写真の中心に映るギトー・フルベッキは、維新の志士たちと交流を重ねた、日本近代化の立役者だつた。作家・井上篤夫氏は、最新刊『フルベッキ伝』で彼の素顔に迫った。